発達に伴って、文字が読めるようになるための準備(レディネス)ができるためです。

1.ことばの音の違いがわかる:音韻知覚の発達

生後6か月頃までは、どの言語の音も聴き分けることができます。日本語を母国語とする環境で育つと、生後8~10か月頃には、日本語の母音や子音の聴き分けはできますが、日本語にない音の聴き分けはできなくなります。

2.ことばの意味がわかる:言語発達

ママやパパと、おやつを食べたり、買い物をしたりする経験をとおして、りんご、みかん、バナナ・・・、意味のわかることばが増えます。6~7歳頃までには、日本語の基本的な言語能力を身につけます。

3.ことばを構成する音の単位がわかる:音韻意識の発達

4歳後半頃になると、連続した空気の振動である音声言語を構成する音韻の単位に気づき、操作することができるようになります。

たとえば、一続きの音声リンゴ/riɴɡo/に、日本語の音韻の単位(モーラ)が3つあり、初めの音が/ri/、次の音が/ɴ/、最後の音が/ɡo/であることがわかります。そして、最後の音を取り出して、/ɡo/から始まることば考える「しりとり」のような音韻操作ができるようになるのです。

4.文字の形の違いがわかる:視覚認知の発達

物を見たり触ったり、お絵かきや、積み木遊びなどを通して、いろいろな形の違いを見分けることができるようになります。

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5.文字を音に変換できる:ディコーディングの習得

話しことばの発達を土台として、読み書きの習得が始まります。

文字の形を認知し、文字と音の対応関係を学習して、文字・音変換(ディコーディング)することが、読みの低次レベルの段階です。次に、変換した音をまとめて単語として認識し、単語の意味を理解します。これが読解です。

り ん ご  ⇨ /ri/ /ɴ/ /ɡo/ ⇨
文字の形の認知  文字→音に変換 意味理解

就学後~

1.正しくすらすらと読むことができる:読みの正確性と流暢性

文章を読んで理解するためには、ディコーディングが正確に、流暢にできることが必要です。

文字を習い始めた頃は、1文字ずつ、文字・音変換するため、逐次読みになります。慣れてくると、自動的に素早く読めるようになります。

さらに、一文字ずつ読むのではなく、文の中に知っている単語を見つけて、単語の意味を認識する語彙経路を使って読むことができるようになると考えられます。

ディスレクシアの子どもは、このような文字・音変換の自動化や、単語をまとめて認識するディコーディングが困難です。読みの低次レベルの段階で時間と力を使うため、高次レベルの段階である読解が難しくなるのです。

2. 文章を読んで理解することができる:読解

読みの高次レベルの段階は、読んだものを理解すること(読解)です。

文章の理解には、単語の意味や文法に関する知識、段落と段落の関係性の理解、短期記憶などが必要になります。