発音が気になるお子さんへの対応を考えるとき、2つのポイントがあります。
1. 発音の発達
2. 発音がはっきりしない原因

まず、発音の発達について、見てみましょう。
① 生まれてから1歳頃まで
赤ちゃんは、生まれたときの反射的な産声から始まり、さまざまな泣き声を発するようになります。生後2~3か月になると、泣き声だけでなく、クークーというようなクーイングと言われる喉の音を出すようになります。4~6か月には、アー、ウーなどの喃語(意味のない発声)が始まり、マママ、パパパ、ダダダなど音節を繰り返す反復喃語がみられます。10か月頃には、発声の種類が増え、抑揚やリズムが出てきますが、意味のあることばではありません。

② 幼児期
1歳頃になると、音声と意味が結び付いて、初めて意味のあることばを話すことができます。幼児期には、ことばの理解の発達とともに、語彙が増え、6~7歳までに日本語の基本的な文法知識を身につけていきます。発音は、言語発達と関連しながら、発達していきます。発音できるようになる時期や順序は、個人差が大きいですが、おおよその順序は共通しています。

・早期に獲得する音:4歳までに90%以上正しく発音できるようになる
母音
パ行、バ行、マ行、タ行(タテト)、ダ行(ダデド)、ナ行、
カ行、ガ行、ワ行、チ、ジなど

・後期に獲得する音:5歳から6歳後半までに90%以上正しく発音できるようになる
ハ行、サ行(サスセソ)、シ、ツ、ザ行(ザズゼゾ)、ラ行など
 
また、4~5歳になると、話しことばの音の単位や順序を認識する「音韻意識」が発達し始めます。

発音がはっきりしない原因の1つとして、発達途上の誤りがあります。
年少の幼児にとって、難しい構音操作が必要な音が、早期に獲得する音に置き換わる誤り(サカナ→チャカナ)や、音が入れ替わる誤り(テレビ→テベリ)などがみられることがあります。いわゆる、赤ちゃんことばと言われるような発音の誤りです。言語、発音、音韻意識の発達に伴って、はっきりしてくる傾向があるため、音の種類や誤り方によって、「4歳頃まで」、あるいは「5~6歳まで、経過を見ましょう」と助言されることが多いのです。