典型的な発達を参考にして、言語発達を見る視点について、考えてみたいと思います。ただし、ことばの発達、とくに、初期は個人差が大きいものです。「~歳頃、~するようになる」に合わないからといって、過度に心配する」必要はありません。お子さん、一人ひとりのペースを大切に見守りながら、ことばを育んでいきましょう。
1.理解と表現(表出)
ことばの発達について考えるとき、まず、理解と表現(表出)を分けることが大切です。なかなかおしゃべりが始まらなかったり、しゃべり始めたけれど、単語を羅列するばかりで文にならなかったりすると、とても心配になりますね。でも、今は、話せなくても、ことばの意味が理解できていれば、いずれ話せるようになることがほとんどです。
ことばを話すことができなくても、ことばの指示に応じることができたり、「ワンワンはどれ?」と聞かれて、犬の絵を指すことができれば、ことばを理解していることがわかります。子どもがことばを話し始めるのは、画期的な出来事ですが、そのためには、まず、「わかる」「理解する」ことが前提になります。ことばを理解してから、話すことができるまでに、タイムラグがあるのです。
また、興味のあることはよく話すけれど、こちらから質問すると、あまり答えてくれないお子さんもいますね。それは、興味があるかどうかだけではなく、質問の意味や意図の理解ができないために、質問に答えることが難しいことがよくあります。
ただ、理解しているかどうかは、わかりにくいため、注意深く行動観察したり、検査をしたりして、きめ細かく、アセスメント(評価)することが大切です。
2.語彙の発達
8~9か月頃になると、名前を呼ばれると振り向いたり、「バイバイ」「チョウダイ」など身振りを伴うことばかけを理解して応じられるようになります。
12か月前後には、初めて意味のあることばを話します。1歳6か月頃になると「物には名前がある」ことに気づいて、しきりに「なに?」と質問するようになります。このころから、語彙が爆発的に増加し、名詞だけでなく、動詞や形容詞を話すようになります。
また、2~3歳頃から、「大きい」「小さい」、「長い」「短い」など相対的な関係を表すことば、「上」「下」、「前」「後」など位置を表すことば、色の名前など抽象的な概念を表すことばなど、語彙の種類が豊かになります。
4歳以降になると、「くだもの」「どうぶつ」など、カテゴリーや上位概念を表すことばを理解し、意味のネットワークが形成されます。さらに、論理的な思考能力の発達とあいまって、「なぜ」「どうして」などの疑問詞を使った質問が盛んになります。
学童期になると、より抽象的なことばの理解が可能となり、読み書きの習得と合わせて言語的な思考や、学習に必要なことば(学習言語)が発達します。
3.構文(文法)の発達
1歳後半~2歳前半ごろ、話すことができることばが50~100語ぐらいになると、名詞と名詞、動詞、形容詞などを繋げて、2語文を話すようになるといわれています。幼児期には、助詞を含む多語文がみられ、助詞を手がかりに文を理解できるようになります。受身文(猫が犬に追いかけられる)や、使役文(おかあさんが子どもに本を読ませる)など、複雑な文の理解や表出ができるようになり、6~7歳頃までに、日本語の基本的な文法知識を身につけます。
4.会話と語りの発達
会話は、発話をやりとりすることによって、情報を交換し、理解や共感などに至る活動です。語や言い回しをどのように使ったらよいかという知識が必要になります。
1歳台では、自分から要求を伝えたり、人からの問いかけに頷くなどで応答できます。2歳になると、簡単な会話ができるようになります。3歳を過ぎると、名前や年齢、目の前で起こる出来事や、自分の経験に関する質問に応答できるようになります。4歳以降になると、お互いの受け答えの内容を踏まえた会話が成立するようになり、話題を維持しながら会話を楽しんだり、発展させたりすることができるようになっていきます。学童期になると、場面や相手に合わせて、会話に用いる情報やことばの使い方を調整し、仲間で話し合いをすることもできるようになります。
出来事の流れについて、時間の連続性や意味の一貫性のある表現を行うことを語りと言います。4歳頃になると、出来事について、複数の文で話すことができるようになります。経験したことなど、目の前で起こる事象ではない出来事や因果関係についての説明が、接続詞などを用いた文章で可能となります。自分の経験だけでなく、ごっこ遊びや絵本の読み聞かせなど、ストーリーのある物語を聞いたり演じたりすることを楽しむようになります。学童期になると、詳しく説明したり、要点をまとめて簡潔に説明するなどの説明能力が発達します。